「造作家具」というと、オーダー家具といったイメージを抱いている方が多いでしょう。
造作家具は別名「作り付け家具」といい、建物の空間と一体化するように作られた家具のことを指します。
ただ、どんな特徴があるのかや建築現場での作業の流れなど、具体的に理解されている方は少ないでしょう。
本記事では、造作家具のメリット・デメリットに加えて、作業の流れや家具の種類、法人向けにも造作家具があることまで、造作家具(作り付け家具)についてしっかり解説いたします。
きっと皆さんの参考になるはずですので、最後までご覧ください。
東建コーポレーション株式会社の建築用語集によれば、「『造作家具』とは、建物と一体化するように作られたオーダー家具のこと。」と説明がなされています。
この章では、造作家具(作り付け家具)について、詳しく解説いたします。
造作家具とは、建物の空間と調和するよう設計、制作されたオーダー家具のことを指します。オーダーメイドの家具ではあるものの、天井・壁・床などへ固定する「作り付け」の家具であることが特徴です。新築のみならず、既存の建物のリノベーション時にも、それまでの家具では一体化できていない場合に提案されます。
空間に機能とスタイリッシュな美を求めるならば、「必須」と言っても過言はないでしょう。
建築用語での「造作」とは、室内作業の中でも建物中の柱や梁等の構造を除く仕上げ前の取付工事のことを指します。
などの現場で加工または取付をする工事はすべて「造作」の範囲内となります。
ただ、リノベーション時の「造作」では、大工工事で作成する「作り付け家具」の棚やテーブル、収納スペースを指すのが基本です。
置き家具とはインテリアショップなどで取り扱っている一般的な家具を指します。既製品ゆえに選択できる色や素材、サイズには制限があるものの、コストパフォーマンス面がよい点でメリットがあります。
置き家具と造作家具の違いを表にまとめると以下のようになるでしょう。
造作家具では「工事の種類」で大きく二つに方法が分かれます。
また、収納棚に限らず様々な造作家具があります。
造作家具では「工事の種類」で大きく二つに方法が分かれます。
また、収納棚に限らず様々な造作家具があります。
建築現場に材料を運んで、大工作業員がその場で作成する工事です。
運搬の費用が抑えられ、大きさ・厚さの微調整等が可能な点がメリットです。
塗装に関しても、床や壁の色・インテリアなど空間に沿った色味を演出できます。
デメリットとしては、引き出しといった複雑な構造の家具が作成できないことや、現場で利用可能な素材や道具が制限されることが挙げられます。
家具工場の中で、特注の家具をあらかじめ作ったのち、完成した造作家具を建築現場に搬入し設置する工事です。
家具工場では設備がしっかりしているため、現場作業では困難な精巧な家具の作成が可能です。
ただし、完成品の運び入れが必要なため運搬にかかる費用が高い点、また現場に搬入した後で色味やサイズが異なってしまうといったトラブルが発生しやすい点がデメリットです。
造作家具(作り付け家具)では、棚や収納以外にもあらゆる種類の家具取り付けが可能です。
空間内のインテリアに合わせた色味や素材で独自のダイニングテーブルを作ることが可能です。
子どもの勉強用や大人のパソコン操作用に、リビングの空きスペースへカウンターデスクを設置するのも大変人気です。
純粋な造作のダイニングテーブルであれば、安いもので約10万円から50万円程度で、キッチンカウンターとダイニングテーブルを一体化させる場合は約150万円程度で作り付けが可能です。
キッチン壁面に飾り棚を付けたり、リビングの壁面すべてを使ってTVボードをつくると、その場にぴったり沿う形で収納を作ることが可能です。
そのほかにも猫ちゃんの遊び場にもなる階段や、間仕切りも役割として兼ねる本棚などあらゆる用途に沿った収納スペースを作ることも造作家具なら可能です。
壁一面の本棚など、家づくりの一環としての大型の収納であれば約50万円前後で、
簡単な収納棚や壁付デスクなどであれば、約10万円以下と比較的安い値段で作成が可能です。
新築やリノベーション時には余った材料が出てくる時があります。そうした端材を使って、寝室にベッドを作る人もいます。
子ども部屋に二段ベッドを設置したり、ロフトベッドという机とセットのベッドを作成できるのがよいポイントです。
また、リノベーションで造作する際に好評なのが、「造作ベンチ」です。
ちょっとした段差を置いて腰掛けれるようにしたり、下の部分を収納にしたりすることで、イスを置かずに空間をすっきりとまとめることが可能です。
ロフトベッドの簡易的なものでは約5万円程度から10万円ほどで、純粋な造作ベッドならば約20万~30万円ほどで作り付けが可能です。
また造作ベンチの場合、カスタマイズなども含め約30万~50万円までの間で基本的には検討していく場合が多いです。
造作家具であれば、空間に沿った寸法にできるため、
「どうレイアウトを考えても、小さな隙間ができてしまう。」
といった家具配置上のミスはなく、無駄なスペースのない収納物に合わせた収納計画が可能です。
腰掛けるベンチや作業カウンターなど、人が何かをする際に設ける家具については、使う人の身体の状況に応じた設計ができます。
こうした造作家具の設定の際は、打ち合わせを重ねつつ使いやすい家具に計画が可能です。
高さのみならず、設備機器に関しても一から設定可能な「造作キッチン」も最近では話題となっています。
かつては派手でインパクトのあるデザインが注目を集めていましたが、最近では極力デザインの要素を排したモダンな内装が注目を集めています。
造作家具であれば、建物空間内の木製のものと色を調和させられるため、全体的に一体感を与えることが可能になります。
造作家具には無垢材や化粧板などが用いられますが、その素材や色柄、樹種にまでこだわれるのも魅力のうちの一つです。
国産木材利用が最近では注目されており、地元などゆかり有る土地の木材を利用することも可能です。
もし「自分だけのオリジナルの家具」にこだわりたいようであれば、造作家具はとても魅力的な選択肢と言えます。
東京消防庁の資料によれば、日本で発生した大規模な地震の中で、けがに派生する原因の約3割~半数は「家具の転倒・落下・移動」によって占められています。
「造作家具(作り付け家具)」であれば床や天井、壁に固定されるため、これらの問題の激減が期待でき、防災の観点から大変大きなメリットとなります。
※専門家への相談を経たうえで、家具取付をする壁面の下地補強や、耐震対策が可能な取付金具の利用が必要な点には注意してください。
東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック― 室 内 の 地 震 対 策 ―(平成27年度版)」5ページの表より
部屋の掃除の手間を省けることも造作家具のメリットです。
造作家具であれば固定されていて移動しないだけでなく、壁際に家具がまとまるために、人力の掃除だけでなく最近注目を集めている「掃除ロボット」でも隈の無い掃除が可能になります。
要望を聞いたのち、サイズと使用素材、設置場所などを設計士・コーディネーターを交えたうえで図面化と見積作成をするため、打ち合わせ時に大変時間がかかります。
打ち合わせ後も、メーカー側とカタログや図面を通してやり取りを繰り返し理想へと近づけていくため、かかる時間は店頭で買う置き家具と大きく差があります。
造作家具は床や壁、天井へ固定するために、基本的には移動が不可能です。
部屋の模様替えを何度も行う場合や気分転換で家具の買い替えをする場合には不向きと言えます。
もし移動をしたいようであれば、メーカー側へ前もって相談しつつ造作家具を固定せず制作するのがおすすめです。
重ねて、固定した後の造作家具の位置はずらすことが不可能です。よって、打ち合わせ時に何をどこに配置するかを考えつつ取り入れるとよいといえます。
オーダー次第で自由に要望ができ、自分だけのオリジナル造作家具が作れる一方で、値段がかさむ可能性があります。
基本的に、家具工場で大量生産される置き家具などと比較すると、高額になる場合が多くあります。
製作費用については、前もってメーカー側と打ち合わせを重ねつつ、予算に沿った造作家具の製造をするとよいでしょう。
造作家具の場合、床や壁、天井へ設置するため、撤去工事の際は固定部分ごと撤去する必要が出てきます。
その際には、工事の際に破壊した部分の修復費用も掛かってきます。
重ねて、「住宅」ゆえに解体と修復は高額になりがちな傾向が存在するため注意が必要です。
造作家具のオーダー時には、解体と修復を念頭に置いて検討をした方が良いでしょう。
置き家具と違い、造作家具は店頭や写真での現物確認が不可能です。
過去の施工事例や完成イメージで確認は可能ですが、実際完成した際に思い描いていたものと色や質感などがぴったり同じにならないケースもあるので、メーカー側と細部まで打ち合わせを重ねるとよいでしょう。
造作家具というと、家のリフォーム工事のイメージが強いですが、オフィスの内装工事でも「造作家具」が取り入れられる場合が多数あります。
例えば、
などで意匠を凝らした造作家具の設置が可能です。
オフィスに造作家具を取り入れるメリットは5つです。
オフィス家具というのは最適な大きさのデザインを、置き家具などの既製品から探すのが大変難しいものです。
そんな際造作家具ならば、寸法などをしっかりと確認したうえで設置可能なため、オフィス空間のバランスをうまく調和させる形で配置が可能です。
先ほど、家のリフォームの場合コストパフォーマンスは置き家具の場合よりも劣ると書きました。
ただオフィスの場合であれば話は別で、既製品の置き家具よりも安価に購入できることも多くあります。
オフィスの内装というのは、働くモチベーションにも関わるためこだわりたいところ。
そうした際に造作家具ならば、素材や色合いにこだわった世界に一つだけのオリジナル家具を作ることも可能です。
建物に固定する造り付けの造作家具は耐震性に優れています。地震から社員の身や大切な備品を守りやすいオフィスを実現することができます。
自分たちのワークスタイル(動線、ワークフローなど)に最適な造作家具を設置することで、仕事効率を重視したオフィスとなります。
次に造作家具を依頼してから完成までの流れについて紹介していきます。
施工業者との打合せで要望を伝え、実際に造作家具を導入したいスペースの計測を行います。
(1)の打ち合わせをもとに図面(計画図)、見積が作成され、材質や仕上げ方法など細かな要望を固めていきます。
理想の造作家具が予め決まっていれば、図面を自分で作成して提出することも可能です。
施工予定の造作家具を最終確認し、施工日程や工期を調整します。
支払い方法や約款を確認し、契約を結びます。
事前に確定していた日程で施工が開始されます。
完成した造作家具に図面との相違がないことを確認し、設置・取付工事が完了します。
打ち合わせから完成までにかかる日数は、打ち合わせ状況や業者の確認作業にかかる時間によっても変動します。
また、既に稼働しているオフィスの場合は営業日以外での工事が望ましいため、工期を長く設けておく必要があるでしょう。
オフィス向けの造作家具はどこにお願いすればいいのでしょうか。
一番最初に浮かんでくるのが、大手のオフィス家具メーカーですが、電子カタログを観てみると置き家具でも10万円~数十万円のデスクやテーブルが多いものです。
こうした中で「造作家具」を大手メーカーに頼むとなれば、工事費も込みで考えればさらに価格は吊り上がってくるかもしれません。
そんな時には「オフィス空間デザイン」のオーダーメイドの造作家具がおすすめです。
開発から受注管理・納品・工事まで一貫した運営体制で、経費を極力削減して、納品まで短納期を目指しているだけでなく、オフィスレイアウト図面やオフィスのレイアウト変更図面は無料で作成しています。
もちろん、造作家具だけでなく置き家具も充実しており、40%オフの値下げキャンペーンも実施しています。
2023年2月20日 11:50 AM | カテゴリー: スタッフブログ | タグ: オフィス, オフィス家具, レイアウト, 内装工事, 木工造作, 造作工事